花蓮【完結】
車に乗れと、暗に催促する哲にあたしは言う。



「あのーあたし、バイクあるんだけど」


「ああー後で取りに来よっ!」


「…いや、無理なんですけど」


「じゃあ、バイク一旦置いて来ようよ、うち近いし」


「哲の家?」


「うん、こっから五分ぐらい」


「……」


「嫌かな?」


「いや、いいですけど」





いかにも不満そうな顔で呟くあたしを嬉しそうに見つめてる哲。


この人にはどんな皮肉も嫌味も通じない様な気がした。




なんか、調子狂う。





だけど、今は家に近付きたい気分じゃないからこれは助かったのかもしれない。





「じゃあ、俺の後ろついてきてねえ」


「あーはい」




頷いてからあたしはバイクに跨って、哲は車に乗り込む。




哲が進む道について行く。

ほんとに五分としないとこに家があるらしく、誘導してもらってからあっという間だった。




「ここに置いといて、じゃ、俺の車へどーぞ」


「…あー、うん」




曖昧にあたしは笑顔を作った。
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