花蓮【完結】
断れない雰囲気がずっと漂ってる。


なんだろう、哲はずっと笑顔なのに断ったらいけないような雰囲気。





助手席を開けようとしたら、わざわざ扉を開けてエスコートしてくれる。






「どうぞ、麻美ちゃん」


「…はい」






こんな風にされたことなくて、少し戸惑う。

女の扱いがうまいのはきっと、彼が経験豊富なせいだろう。




見た目だけじゃなくて、こういうさりげない所で哲がもてるんだなと思う。







車に乗り込むと、哲は黙ってタバコに火を点けた。

セッターを一本出して、渋い顔で煙を吸い込む。


それであたしも今まで一本も吸ってないことに気付く。





だけど、タバコは家に置きっぱなしにしたまんまだから諦めた。

後でどっかで買うか。






「さて、どこ行こうかな」




何も話さないあたしを気にも留めず、車を発進させる。


さっき言ったことは本当なのだろうか。

あたしを好きだなんて本当なのだろうか。





悶々と頭の中で考えるしかなくて、消化しきれず複雑な気持ちになる。



なんだ、この感じは。
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