花蓮【完結】
哲は相変わらず笑顔で対応してくれる。

明らかに不自然だったあたしに何も聞くことなく笑って話を盛り上げてくれる。





哲はきっと、とっても人の心がわかる人なんだろうと思った。





海みたいに広い心の持ち主なんだろうと思った。






この人にならあたしの鎖で雁字がらめの心の扉開いてもいいのだろうか…?










「麻美ちゃん」





信号待ちでふと。

静まり帰った車内。






優しくあたしの頬に手を添える哲。





夕陽が差しこんで、赤くあたし達を照らす。






時が止まったかのような錯覚を覚える。





言葉を発せようにも、うまく言葉を紡げない。



やっとのことで哲、と言葉を発するも、それはただ無意味なものでしかなくて。







ゆっくり、顔が近付いてくるのがわかる。



端正なその顔が近付くのをあたしは拒むことが出来なくて。








もう、それが触れそうな距離まで来た時。
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