千年の追憶*番外編*
屋敷に戻り、炎を呼ぶ。


炎は、私の身の回りの世話をしてくれている、愛らしい女性だ。


炎は6歳の時に、私の修行先である陰陽師の師匠の屋敷へ奉公にやって来た。


顔にあるアザのせいで、私と同じに追い払われたのだと思われた。


何だか似た境遇の炎に私は親近感を感じていて、師匠から独立する際には一緒に来てもらう事にした。


しかし長いこと炎と一緒に居るが、こんな表情の炎は初めて見た。


確かに男の私ですら見惚れてしまう程に美しい顔立ちだから、炎もそうであっても不思議ではないが。


それだけではなく炎は、この人ではない青年を、知っている風にも見えた。


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