千年の追憶*番外編*
礼孝の真剣な申し出に、炎は頬をほんのりと赤く染めた。


俺の目の前で、照れて赤くなった者同士が、俯いてモジモジしている。


そんな様を見ていると、こっちまで何だか気恥ずかしくなってしまった。


「礼孝様…。あたしは…。」


炎が戸惑いの口調で、呟いた。


「用事を言い付けられる以外に、あたしが必要とされる人間だなんて、今はまだ信じられません。」


「うん…。
炎はずっと、自分を蔑んでいましたからね。
もしかして、鬼なら自分に似合いだ…なんて思いがあったんじゃないですか?」


「そんな!違います!
あたしは、本気で早時を好きなんです!」


「はい。
早時は炎の、特別なんでしたよね?」


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