二重人格神様
「んー…でも、なんかアレスに愚痴を言ったらスッキリしたよ」
手を思いきり伸ばし、湖から脚をあげるとアレスは私にタオルを差し出しそれを受け取り脚をふく
「良かったです。愚痴くらいならいつでも」
「ありがとう」
「いえ、さて、そろそろ中に入りましょうか。長居をして襲われるわけにはいきませんので」
「あ、うん」
その場から立ち上がり靴をはくとアレスが歩きだし、それに着いていくように私も歩くと―…
「うっ…い、たぃ…よぉ」
「………ん?」
不意に誰かの鳴き声が響く
「……」
「ん?どうされました?いのり様」
「あ、うん…なんか声が聞こえない?」
「声?いえ、私には…」
「……」
うそ、じゃあ…気のせい?
「う、ぐすっ…」
「…あ」
いや、気のせいじゃない…
「アレス…やっぱり聞こえるよ」
「いのり様…」
彼の腕をつかみ、キョロキョロと周りを見渡すと、私の目に二人の影がうつった
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