二重人格神様
「なんか、ベタだね…」
「…え?」
「あ、いや。なんでもないよ。次はその帽子、飛ばさないようにね」
「……」
私の肩を数回叩き、目の前の男性は踵を返し、そのまま顔だけ私にむける
「あ、そうだ…ところで、キミは…どこの子かな?見たことがない顔だから」
「あ、それは、えっと…おばさんの家に遊びに来たんです」
てか、わたしも、聞きたい。この人、どこの人なんだろうか。さっき、見たことがない顔って言ってたからこの村の住人なのだろう
「あの、そうゆう貴方は「なるほど、そうか遊びにね、名前は?聞いてもいい?」」
「へ?」
な、名前?わたしの?
「えっと、いのりです」
「いのり…ちゃん、か」
「は、はい」
"いのりちゃん"って、優しい声に呼ばれ胸がドキドキとなってしまい
つい、言葉を失うと彼は頷く
「分かった。じゃあ、いのりちゃん…これは僕からの警告」
「へ?」
警告?
意味の分からない子供に首を傾げると、そのまま彼は岩に向かって指をさす
「今は…あれには、近寄らないほうがいい」
「………え?」
あれ?あれって、龍神様の岩のこと?
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