二重人格神様
「いのり~…」
「そんな声だしても、ダメです。グレン君…泣いてたんですよ?」
「………」
「なんで、手を差し出してあげなかったんですか?泣くなとか、立てとか、失望したとか…酷いです」
あの時の、酷く冷たい海鈴さんに攻められてるグレン君を思いだし胸がギュウと痛くなりうつむきながらシーツを握る
「いのり…」
「………」
胸が痛いよ。あの痛みが分かるから…
強くいなくちゃいけないのに、心がついていけない痛み
過去の自分を重ねてしまい、そのまま口を閉ざすとギシッと音をたて海鈴さんが私に近付き片手で頬を触る
「……ぇ」
「そんな顔をしないで。まるで僕が泣かせてるみたいじゃないか」
「…海鈴さんのせいなのは、間違いじゃないですっ」
「それは、そうだけど…グレンの事で、いのりが泣くことはない」
「…だ…って」
「………」
「グレン君の痛みが…分かるから…悲しくてっ」
「………」
「まるで、自分を見ているみたいなんです。だから、胸が痛い…なんとかしてあげたいんです」
「………いのり」
「……っ」
「全く、キミは優しい子なんだから」
頬にあった手をはなし、そのまま私の頭を優しくなで、ゴツンと額をぶつけてくる
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