二重人格神様




「はい、いのり様が入浴中に帰って参りました」


「そ、そうなんだ…あ、あの…怪我とか…大丈夫なの?」


傷だらけだし、血も凄かったから…


「大丈夫です。さすが海鈴様と言うべきか…傷跡は一つもありません」

「ほ、本当に?」


「はい。海鈴様もいのり様を心配しているので、これを持って海鈴様の執務室に行って下さい」


「………あ」


アレスに握らせられ手にある紙は何も書かれてない。いわゆる、白紙


「これを?」


「はい」


「わ、わかった」


海鈴さんの様子とか、自分の目で確認したいし


ちゃんと、お礼も言いたいし…人間界に帰るって話しもしなければいけない


「あ、でも…その執務室ってのは、どこ?」


「はい、ここから左に行き突き当たりを左に、そして階段を上がり真っ直ぐに進めばございます。残念ですが、いのり様一人でと言われましたので、ご一緒することが出来ません。ですが、お部屋で夕食を準備しているので、ゆっくり話をしてきてください」


「あ、うん、わかった。わざわざありがとう」



頭を下げると、ポタッと水滴が首筋を流れおちる


「いえ、では。"色々"とお気をつけて」


「?…あ、うん」



そんな会話を繰り返し、私は急いで海鈴さんのもとに向かった


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