二重人格神様





「ならない…前にも言ったじゃないか」


「なら、なんであんなキスをしてるんだよ…人間の願いを聞くだけでもいいだろうが」


「…そうだね」

「なら」


「彼女と重ねたからだよ…人間で、自分より他人が優先…僕が初めて好きになった彼女に似ているから…キスをした。それに僕は嘘ついてはない。力が弱っているのは事実じゃないか」



「そうだな…つか…まだ根にもってるのか?あれから、何人も女で遊んで…花嫁だって「フェイラン」」



「僕にとって…愛した人は彼女だけだよ、他は…ただの慰め。もちろん、いのりもね」



その言葉に、フェイランは海鈴に気づかれないようにギュウと手を握る


「それに…"アイツ"も…一人より、複数のほうが好きみたいだし」


「…"そっち"とは…いのり様のこと…どう思ってるんだ?」


「さぁ、僕には"アイツ"の気持ちはわからないから。だけど…まぁ…今は、未遂に終わったから怒ってるだろうね」



そう言うと、海鈴は踵を返し歩きだす


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