二重人格神様




「ありがとうございます。では、そんなグレン様のお気持ちに答えゆっくりして参りましょう」


「そうだね」


せっかくだし。間違ってもグレン君がいたら、ゆっくり出来ないわけではないけど今回は甘えよう。



アレスの言葉に頷き、そとに出ると彼は私に可愛いらしい傘を差し出す



「へ?なに?」


「日傘です。この世界は日差しが強いですから人間には長時間辛いかと。ちなみに人間界から持ってきたものです。我々の国に日傘はありませんから」


「…そうなの?」


「はい。みな、海の神ですので雨は恵みですから



あぁ、そうか………


「ありがとうございます。わざわざ」


アレスから受けとると明らかに私の趣味ではない傘。フリフリで何処かのお嬢様が持ってるような傘に思わず笑みが漏れる


「ふふ」


「え?な、なにか?」


「ううん。アレスは可愛いのが好きなんだね」


「可愛い?あぁ、いえ、その傘は…」


「?」


「あ…な、なんでもありません。海鈴様から口止めされてるんだった…」


「ん?なにか言った?」


「な、なんでもありません!さ、はやくさしてください。いのり様」


「あ、はい…」


変なアレス。なんか焦ってるみたいだし。ま、いいけど


少し不振に思いながら、傘をさすと日差しが遮られ顔に陰が出来る



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