二重人格神様




誰かを好きにはなったことはある


あぁ、この人いいなって…思って好きになるから。だから、好きかわからないなんてなかった



でも海鈴さんは、それとは違う。いいなって言うより…暖かいなって思う


優しくて強くて、綺麗で…… 魅力的で…ドキドキする。でもね、だからなのか…




「なんかね、好きって認めて…好きになったらいけない気がするって言うかさ…」



「…」



「好きになる理由が、見つからない」



「……」


そう呟くとアレスは首を傾げる



「理由など探すから、気持ちがわからないんです」


「?」


「理由など、どうでもいいのです。大切なのは…誰かを大切に思うことです」



「…アレス」


「それに、好きになったらいけないと…考えてるのは好きになった証ですよ」



「…!?」



ドキッと胸が鳴る


「傷つきたくないから、好きだけれど考えないようにする。それは、勿体ないです。誰かを愛しく思うのは何億年も前から変わらずココに存在する感情です、いのり様」



自分の胸元の服を握り、いつも以上に優しいアレスに私も胸元を握る



「…」



アレスの言うことは正しい。


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