二重人格神様
「はぁっ、手は出さないとは言ったけど、途中で止めるのも辛い」
「…っ」
「でも、我慢。我慢だ」
さらにきつく抱かれ、傷に痛みが走るけど、それ以上にこの腕が気持ち良くて痛みなんかどうでもいい
「海鈴さん、我慢、出来るんですか?」
「なにそれ、挑発してる?」
「し、してませんよ?そうじゃなくて…据え膳喰わぬがとか、言うじゃないですか」
「自分で言わない」
「…ひゃ」
ビチッと額を軽く叩かれ、クスクスと笑う彼
そんなに、笑わなくても…まぁ、確かに自分では言わないか
深く考えずに言った言葉に後悔しながらも、彼に抱かれていると不意に彼が口を開く
「ねぇ、いのり?」
「は、はい?」
「ずっと、僕のこと好きでいるんだよ」
「…?」
なにを、いきなり…
「意味がわかりません…好きだすけど、私はそのうち…人間界に帰るんですから…」
海鈴さんは好きだけど、ここにずっと、いるかは話が違う。私はお父さんと平和に暮らしたい
そのために、ここにいるんだもん…そのために、いるんだもん…そのため、だ…よ
.