二重人格神様
「いるよ」
「え?」
フェイランの言葉を遮り海鈴は言う
「…傍観者…またの名を…シャカ」
「ま、まさか…」
「僕もそう思った。だが、考えれば繋がるんだ。理由は分からないが、いのりの父親が見つからない理由、そして…あの時、僕に牙を向けた男に僕がいのりに対して思う気持ち」
「思う気持ち?」
「そう。いのりを守らないとって思う、使命というか…彼女といるとそう思う。それにね、彼女に触れると力が溢れてくる。人間の願いを叶えるより強い力が」
「…海鈴様…」
「そして、今キミが話してくれた呉羽のことで尚更」
「父親とシャカに何か関係があったのなら、いのりに影響が出てもおかしくない。だからこの前シャカが突然、深界に来ると言う話がきたんだとね。僕が知る限り何百年も深界には来ていないにも関わらず」
「……」
「いのりを特別だと思うのも、シャカの力に当てられてるんじゃなかと」
そう言うとフェイランは黙り込み立ち上がる
「なるほどね。確かに、海鈴様が小鳥ちゃんに執着するのはおかしいと思ってるわ。前に聞いた時も…好きならどうする?とか言うし」
「あったね、そんなこと」
「えぇ、でもシャカの力なら、ないこともない」
「そう、だから…あの女を…いじめて、無理矢理吐かせるか…」
「…え?」
海鈴も立ち上がり、月明かりの中、フェイランを真っ直ぐに見ると彼は驚いたように海鈴の瞳を見つめる
「海鈴様!何を言って…って、その目…っ!」
「え?あ…ごめん、何を言ったんだろう…少し力が弱ってる」
海鈴の綺麗なブルーの瞳がいつもと違い輝くゴールド。まるでグレンの片目と同じ色
「大丈夫なの!?」
「大丈夫だよ。まだ、意識は僕にある」
「だけど…」
「いい。それより、そのことはもう少し警戒してみよう」
「……」
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