二重人格神様
ゴクリと息をのみ、暗いなか彼を見るとその瞳はとても綺麗
信じて、みよう―…
わたしは生きなくちゃいけないんだ…お父さんを一人にするわけには行かないから
「……」
心でそう思い、深く息をすい私は海鈴様の指に自身の指を絡める
「お願い…しま、す…海鈴様」
「はは、"様"なんていらないよ。花嫁なんだから…海鈴と呼んでくれないかな」
「え、でも、それは」
「僕も"いのり"と呼ぶ。だからキミも」
「…ですけど…」
「わたし、恥ずかしいわ!」
フェイランさんが頬に手をあて、呟きそれに海鈴さんが眉を潜める
「フェイラン、キミには聞いてない」
「代弁してあげたのよ」
「しなくていいから…まぁ、とにかく"様"はダメ。花嫁なんだからさ」
指をはなし、海鈴様は立ち上がり空を眺める
「それより、そろそろ帰らないとまずいな」
「?」
「さぁ、手を握って。僕らの世界に案内するから」
私に右手を伸ばし、それに促されるように手を伸ばすと…
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