不思議電波塔
1日かけてネムフェリウからケファウルへと入ったセラミスは、ネムフェリウとケファウルの境目の宿に泊まっていた。
翌朝、早くに外に出て、杖を持つと杖は自ら進む方向を指し示した。
「ふむ。…反応が強くなっているな」
杖の先に光が灯るようになっている。近いということだろうか。
セラミスは歩き出した。
*
セラミスが宿を経った時刻より少し後に、エレシアたちは宿を発つことにした。
外に出た時のことである。
「…何か来ます」
ユニスがネムフェリウの方角を見て呟いた。
ユニスと手を繋いでいるイレーネも言葉を発さず、その方角を見ている。
エレシアとレミニアにはわからない。ユリエがユニスの感じているものは何なのか、感覚をすませていたが…しばしして答えた。
「人です。こちらへ向かっている人がいます」
「人?何者なのか、詳しいことはわからないのか?」
「捕らえようとする者ならそれらしい気があるはずですが──。ごく穏やかな気です。でも私の知っている気ではありません」
イレーネが言葉を発した。
「杖持ってる」
癒し手の意味合いを持つ「杖」という単語がイレーネの口から発せられたことに、レミニアは確認するように聴いた。
「杖を持った人がここに来るの?」
イレーネは頷いた。
「会いに来る」
…どうしたものか。
ユリエがエレシアに訊いた。
「先はお急ぎですか?会う必要性のある者になら会った方がよいかと。避けた方がよい者ならば本能で避けようとするはずです。それも大人より幼子の方がその感覚は正しかったりするものです」