不思議電波塔



「つまりユニスと私は同じ時に『アレクメスへ逃げる』という選択をとってアレクメスの地を踏んだんだよ」

「そう。私がケファウルに着いた日に、道を尋ねてきた女性がイレーネを連れていたのです。私は何処で眠るのか決めかねていましたから、それで同じ宿に。セラミス先生に出会ったのは、その翌日のことでした。私とイレーネがネムフェリウの方角を見て『何か来る』と言うので、ネムフェリウへ導かれるように足を運んだのです。出会った時、セラミス先生は言いました。『世界の綻びを止めたい。私は出会えた。この世界は必ずよい世界となろう。希望の目を持つお前たちのような子がいる限り』。セラミス先生は、カウフェリン・フェネスの崩壊を止めるために、私とイレーネに会いに来たのだと仰られたのです」

 涼はそこまでの話を聞いて、納得がいった。

 由貴なら、四季や忍を見てセラミスの言った言葉と同じ気持ちになるだろうと思ったのだ。

 だが、ひとつだけ気になることがあった。

(涼は何処にいるのだろう)

 由貴の心に桜沢涼がいるのだとしたら、それはどんな姿でいるのだろう。

 それが気になった。

 だが、一度にいろいろなことを聞いては混乱すると思い、涼はユニスに聞いた。

「セラミス先生と会った後、ユニスたちはどうしたの?」

「イレーネはまだ幼かったこともあり、安全なところに身を隠していた方がよいだろうと、別れました。私はセラミス先生についてゆき『杖の導く先』へ向かいました。綻びの発端となったのは幻獣。人と対立した立場をとる妖華と呼ばれるものに属するものです。それを鎮めるには妖華を統べる者に会わなければならない。そして、セラミス先生と私はその妖華の長に会い、話をしたのです」

「妖華の長…どんな人だったの?」

「顔はわかりませんでした。とても落ち着いた声で『迷い子か』と問いかけて来られました。会いに来た理由を話すと『滅びるものは滅びるままにしておけ。だが私に会いに来た者の気持ちは汲む。どれくらい待てばよいのかを答えよ。その間は鎮めよう』と」



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