不思議電波塔
「何て答えたの?」
「それが、妖華の長にその言葉を『鍵』としてとられてしまったため、覚えていないのです。セラミス先生は『希望を失わぬ心のまま、世界を共に受け継ぐ者、ジャスティという少年を連れ、もう一度ここに来るのなら、世界はまた新たな光を得よう』と話してくれました。そこでカウフェリン・フェネスの綻びはその時に一旦止められ、国々は活気を取り戻しはじめました。それから10年が経ち、私は再び綻びかける世界を目にしています」
イレーネがユニスの言葉を補うように言った。
「私は、幼い頃にユニスと出会って、ユニスとはすぐに別れてしまったから、その時の事情はよくわからなかったんだ。事情がわかったのは、ユニスが15歳、私が13歳の時にアレクメスのフェセーユという神学校で再会してから。ほんの数日一緒にいただけだから、お互いに最初はその時に出会っているとは気づかなかったんだけど、好きになってつき合い始めてから、小さな頃のことを話していてそうだとわかったんだ。セラミス先生の話では、ユニスも私も世界の鍵を握る者のひとりだということらしい。ユニスも私もまだフェセーユの学生なんだけど、一旦ユニスの祖国のリオピアに戻って来ているのは、ユニスの国が心配だったから。私は本当はハロンのことを気にかけなければならない立場にあるんだけど、最初に幻獣の覚醒があったハロンは、今は人が立ち入ってはならない状態にあると止められて、リオピアに来たんだ」
「話してくれてありがとう。…少し見えてきた気がする」
涼はそう言い、由貴に言ってもらって書いた言葉から推理するように言った。
「あのね、涼、さっき、会長の話を聞きながら、小説の代筆をしていたの。会長がひどく疲れているみたいだったから。その時に会長が話してくれた文章に、ネムフェルン島に住んでいる老人と少年の話が出てくるの。その老人がセラミス先生とジャスティなんじゃないかって思ったんだけど」