不思議電波塔



 のびやかに、君の羽が空を舞って、君の時が来る。

 僕の想いは空を馳せる。

 風が吹いてる。

 言葉は何処から来るのだろう。

 想いは何処へゆくのだろう。

 光あふれる空から、光返す海から、大地から、さんざめく、喜びの歌。

 君にはひとかけらの悲しみも与えない。

 与えなくても人はそれを知っているから。





 携帯の小さな画面の向こうに、どれだけの広がりを感受したのか、綾川祈は柔らかい描線で描き始めた。

 カウフェリン・フェネスの七大国。暦はサン・リュトワ歴。

 サン・リュトワ歴の1999年から2001年という時の変わり目に起こりはじめる世界の綻び。その時に生を受けた命を継ぐ者。

 綾川由貴の書いた物語の情景、その時の移り変わりを正確に感じとったかのように、祈は描いて行った。

 驚いたのは苳夜だ。

「祈さん、由貴の小説読んだことあるの?」

「ううん。何となく、由貴くんの世界が伝わって来たから。苳夜くん、これはカウフェリン・フェネス全土の地図。歴史の順に描いていこう。僕の言った場面、描いてもらえる?ふたりで手分けしよう。イメージは挿し絵のある小説。絵のとなりに文章が並ぶ感じで」

「了解です」

 智が手をあげた。

「あのー。ふたりだと大変だから、私、挿し絵のとなりに並ぶ文章くらいなら書けるかも?場面の説明になってればいいんだよね?一応、私演劇部だし。台本書いたことはあるし」

 早瀬は携帯を見ながら言った。

「私はそういうのは苦手だから、携帯で見られる四季たちの様子、記録しておく。これも物語のうちなんだろう?書いておけば形に残るしね」

「僕にも何か出来ることはないんだろうか」

 手持ちぶさたの様子の隆史に、早瀬がすぱっと言い切った。

「あんたはやることたくさんあるじゃないか。由貴と四季と涼ちゃんと忍と尾形晴の状況を学校にどう報告するかっていう」

「あいたたた…。そうでした」

 困ったように肩を落とす隆史に、智が笑った。

「先生、どーにもなんなくなったら、私が先生のフォローしてやっから、元気出せ」

「うう…。ありがとう、吉野さん」

「──隆史、珈琲」

 気遣いなのか、ユリが無愛想に隆史に珈琲を差し出して来た。



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