不思議電波塔
智がユリの行動に笑った。
「ユリたん、私も珈琲欲しい」
「了解」
「え?いいの?四季の命令以外だけど」
「尾形晴の動きがない。しばらくの間ぼくは好きなことできる」
「ユリ、あたしにも、珈琲」
「俺も。…ってここ、俺のアパートなんだけど」
「あはは。ご希望なら明日見くんには後日あたしが美味しい珈琲差し入れるよ」
「やりー。頑張ろ」
ユリは智と早瀬と苳夜の分の珈琲も淹れ始める。
ふと、祈が顔をあげた。
「思ったんだけど、僕、苳夜くんの親戚なのかな?」
「へっ?」
「僕、早瀬ちゃんと結婚する前、名字が『明日見』だったの。明日見祈。早瀬ちゃんの家を継ぐことになったから、僕の方が名字変わったの」
「えっ。そーなの!?」
「そーなのー」
「何処かで血が繋がっているとしたら絵が上手い血筋なのかね?」
早瀬がふたりの絵を見ながら感心するように言う。
苳夜は唸った。
「うーん…。うちの親父なんか絵なんか描かないけどなぁ。俺がこんなこと好きなもんだから、半分勘当もんですよ。だからこんなアパートに住んでプロ目指したの」
「そうなんだ。苦労したねー」
「そうなんですよー」
何だか絵描き同士仲良くなっている。
シェネアムーンは「何かあればお呼びを」と告げ、眠ってしまった。
携帯画面の向こうの「僕」は、こちら側の「僕」に繋がり始めていた。
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