不思議電波塔
未来視の目がまだ見ぬ少女の姿を映した。
誰だろう。
見たことのない、可憐な姫君。
「ジャスティー!」
遠くで少年が呼んでいる。カイ・メイファルド。
学校に通い始めてからネムフェリウで出会った、幼なじみ。
「カイ」
ジャスティは気のおけない幼なじみに笑顔を返す。出会ってから6年。ジャスティは10歳、カイは13歳になっていた。
青龍の目に護られて眠りについている間、ジャスティは歳をとらなかった。
ふたたびセラミスと過ごせるようになったのは、それから5年後のことだった。
セラミスは「お前が眠りについている間、世界の綻びを止めてきたのだ」と、話をしてくれた。
ともに旅をした少年のことも。少年の名はユニス。ジャスティが幼い日に倒れた時、口にした名前だ。
「今から海が荒れるって言ってたぜ。行こうぜ」
カイは心配そうに海を見る。ジャスティは「うん…」と答えた。
「最近いろいろなものが見えるようになってる。不安だからかな?」
「不安だからって…。何が見えるんだよ」
「今見えたのはふたりのお姫様みたいな子。僕に何か話があるような雰囲気だったんだけど」
「お姫様ってフィノ様みたいな?アレクメスにはお姫様はひとりしかいないぜ」
「そうなんだよね。僕、フィノ様見たことないし」
「写真で見たことあるけどフィノ様は確かに可愛いよ。12歳だとか言っていたけど」
「ふーん…」
「そのお姫様?が何でお前に話があるみたいなんだよ」
「よくわからないけど。そんな気がしただけ。あー…何かもやもやする。何かわかりそうなんだけど」
ジャスティは本来明るい性格である。こんなふうに考え込んでいるのは性に合わない。
カイは苦笑した。
「お前素直だから感覚が寛容になり過ぎてて、何か余計なものまで拾って来てんじゃないの。疲れるだけだぜ。考えるのやめとけやめとけー」