不思議電波塔
「ちょっといいかしら?」
カツ、と馬の蹄の音。いつのまにそこに来ていたのだろうか。
天馬に乗った少女騎士がカイとジャスティに目を注いでいた。
「わ…」
「な、何?」
ふたりとも天馬など目にしたこともない。しかも、少女は目の醒めるような美しさだった。
少女は微笑んだ。
「人を探しているの。ジャスティという少年なのだけれど」
「あ…はい。僕、ジャスティです」
ジャスティが返事をした。それを聞いて少女は天馬から降り立つと、ジャスティに一礼した。
「私はルナ・シルフォーネ。アレクメス宮廷騎士です。フィノ様の命により、お迎えに上がりました。その者がカウフェリン・フェネスの命運、その鍵を握る者だと。ご同行いただけますか」
「え…。フィノ様って…さっき見た…?ジャスティ」
カイはジャスティの目を見た。ジャスティはわからないというように首を振る。
ルナに話した。
「僕、最近、いろいろなもの見ていたんです。カウフェリン・フェネスがおかしくなってから。ついさっき見たのはふたりのお姫様みたいな子が僕に話しかけたそうにしていたこと。ひとりは明るいブラウンの髪で、もうひとりは黒髪のお姫様でした。それとフィノ様のこととは関係ありますか?」
「おそらく…。でも、ふたり、ですか?フィノ様だけではなく。フィノ様はブラウンの髪です。黒髪のお姫様というのは、私にはよくわかりません」
「そう…」
「フィノ様があなたが今言われたようなことを仰られていました。最近、いろいろなものを見ると。何かの予兆のように。フィノ様がご覧になったものは乳白色の髪の少年。ネムフェリウの地の暖かさを感じる光景でした。少年の名はジャスティだと。フィノ様はこの感覚が強く、そういう兆しがある場合は、その人物に会ってみた方がいいということなのです。ただ、このようなことで宮廷騎士が何人も出向くのは物々しいし、相手は少年なのだからとフィノ様がお察しになり、私が遣わされたのです」