不思議電波塔
ルナはふっと目を細める。
「それは、私の方も聞きたいことだわ。私はフィノ様から遣わされたの。カウフェリン・フェネスの命運を握る者が、このネムフェリウの地にいるらしいことを聞かされて」
「そうか…。フィノ様が…。驚いた。私は訳あって、フィノ様の命ではないところで、このネムフェリウの地にその者がいることを聞かされてここに来た。その話を聞かせてくれたのが、ここに連れてきた少女だ」
黒髪の少女がはにかんだようにお辞儀をした。
「初めまして。『すず』と言います。あなたがジャスティですね?」
「すず…」
ジャスティは涼の姿を凝視する。つい先刻見た女の子のもうひとりの方だ。
「カイ…もうひとりだ」
「え?」
「僕がさっき見たのは、フィノ様と、このお姫様のことだと思う。だって、ふたり、似てたから」
ジャスティがそう言葉にして、ルナとカイも改めて黒髪の少女を見る。
「そういえば…フィノ様に似ているわ」
「うん。確かに」
「似ているのには、訳があるんだよ。それは後で話そう。…ああ、申し遅れた。ジャスティ・エルモード。いや、ジャスティ・アミステイルと呼んだ方がいいのか…。私はイレーネ・スフィルウィング。正式には、イレーネ・アミステイル。あなたの妹に当たります。会えて良かったです、兄上」
「あ、兄上!?」
カイがイレーネとジャスティを見比べて、あり得ないという表情になる。
イレーネは穏やかに笑った。
「そう。兄上だ。ああ、人が揃ってから、話をした方がいいな。それから…。カイ・メイファルドという方はあなたですね?」
「は、はい。俺がカイです」
「あなたにも、ついて来て欲しい。いいだろうか?私たちの世界の綻びを止めたい。時間がないのだ」
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