不思議電波塔



 天の声を聞け。

 あまねく統べる者は、天を知り、地を受け継ぐ。

 闇をも知らぬ者は、光を知ることもないのだ。

 世界が何をも見せず、聞かせず、理解させず、深い闇であることを知っているか。

 「わからぬ」と言葉に出来る者は幸いなり。

 そこから道を切り開く者は勇敢にして新しい風なり。

 心地よくさせる風を人は喜ぶ。

 奪い、破壊し、無に帰す風に人は惑う。

 風は何処から来て何処へ行くのか、追跡出来る者はない。

 だからこその時の風なのだ。





 彼女は天の遣い。広い世界にただひとり。

 地に生まれた、天馬たちの先頭に立つ、地上に生まれ、天に導く者。

 彼女は何にもとらわれない。

 醜く、争いの絶えない人の世において、気高く、我は我なりと、美しくあるもの。

 汚せる者は何処にもない。

 彼女は「乙女」であるからだ。





 彼は地の覇者。天上の彼女を思い、彼女が地に降り、大地を愛でるのを喜び、憩わせる者。

 真の力を持つ彼を超える者はない。彼は「王」であるからだ。





 天馬の姿になったイレーネに呼ばれ、天馬たちが群れをなして地に降り立った。

 天馬たちは彼女が「唯一」であることを知っている。

 天馬はジャスティとカイが乗ることを許してくれた。

 無事、ジャスティとカイが天馬の群れに加わったのを見て、天馬に乗ったルナも後に続く。

 イレーネの率いる天馬の群れの横を、飛龍が飛びはじめた。

 飛龍には「あちらの世界」の者、ユニスやノールが乗り、リュールが率いている。

 天馬の群れと飛龍は、アレクメスの王宮を目指した。



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