不思議電波塔



 カウフェリン・フェネスはまるい。リオピアの王都ユーノヴェルティが午前3時を回る頃、アレクメスの王都ニオブラントは午後3時であった。

 アレクメス国エルティエーブ王家に生まれたフィノは、若冠12歳にして国王となった。

 若く美しい女王だ。しかし華奢でたおやかな印象は、女王というよりも姫君といった方がしっくりする。

 玉座の間で皆を迎えたフィノは自分によく似た黒髪の少女にまず目を止めた。

 涼はフィノの視線に応えるように進み出た。

 慎ましやかながら物怖じしない凛とした姿勢は、女王のフィノと並んでも何ら見劣りすることはなかった。

 涼たちは宮廷でふるまうのに相応しい服に替えていた。

 フィノの方も立ち上がり涼の方へ歩いてきた。

 フィノの前まで来ると、涼は一礼した。

「初めまして。フィノ。涼です」

「すず…。これはどういうこと?初めて会うのに、初めて会った気がしないわ」

 涼とフィノが似ているのは由貴の中の涼を別の形にするならフィノになるからだと四季が話した。それからカウフェリン・フェネスの始まりが由貴にあるということも。

「それなら、私はカウフェリン・フェネスに存在する桜沢涼だと思っていいのかしら?」

 フィノはそう問いかけ、涼は優しい表情になった。

「うん。涼も不思議。フィノがいてくれて嬉しい」

 女王は涼の手を取ると、集まった者に感謝した。

「世界の綻びをとめようと案じていたことが、このようなことになるなんて…。今までのカウフェリン・フェネスの歴史にこんなことが他にあるかしら?私は生涯に何度もないことのような気がするわ。ここに集められた者が『綻びをとめようとする』意志で繋がったのならば──。それは綻びを縫い合わせる強い糸にもなるでしょう。ありがとう。感謝します」



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