不思議電波塔



 ルナが穏やかに言った。

「人間には『清潔な場所が居心地がいい人間』と『清濁混ざっていてもいい人間』と『濁っている方が楽な人間』とがいるわ。それでマジョリティー、マイノリティーのマジョリティーの意見に合わせるのが常識的ではある。ただ『常識』が必ずしもいい方へ導くものかというとそうではない。だから、知恵のある人間は多くの人間が『うるさいもの』『邪魔なもの』『ふたをしておきたいもの』に解決法があるのではないかと模索する。人間にとって『燗に障るもの』は生理的にダメなものと、理由があってダメなものがあるのよ。その後者である理由があってダメなものは、理由の根底にある物事の仕組みを変えてしまえば、不愉快なものではなくなる可能性がある。ただ、それがガン細胞、それもスキルスのようなひどく浸潤した仕組みで回っている物事であるとしたら、そこにあるひとつの生態系は、どうあがいても、どのみち死ぬことは確実よね。それが本物のひとりの人の人体について言うなら、代えはきかないだろうけど、幸いカウフェリン・フェネスは私たちの意識ひとつでいくらでも作り変えていくことが可能だわ。カイの言っていることは、でたらめに生きている人間には厳しいでしょうけど、でたらめな人間の言うことがカイのような人間の生き方を邪魔しているのも確かよ。だから双方の潰し合いになるような論議になるなら、するだけ無駄ね。世界のことを考えるなら、どちらも生きる場所のあるところでなければ、違うもの」

 ジャスティは理解すべきことが途方もなく大きなものであるように感じた。

 でも言葉にしてみることがいいのかと思い、考えながら口にしはじめた。



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