不思議電波塔
「…カイ」
「お前みたいな『何も知らない』奴、都合のいい生け贄みたいに扱う奴がいるのは、俺は知ってる。こういうこと言うと『わかってないね』って鼻で笑って力を貸さないで見ている野次馬なんていうのもいくらでもいる。俺は人をバカにするような人間は嫌いだ。そのつもりがあってもなくても、どうにでも受け取りようのある気に障る言葉『わざと』遣う奴は最低だと思ってる。そういう奴は最低だと思われようが、笑えるならどうでもいいのかもしれないけど。同類が欲しいだけなのかもわからないし。俺もそんな人間からバカにされたところで痛くもかゆくもないし。けど、お前をバカにする奴は腹が立つ。だって俺はお前みたいな奴に生きていて欲しいから」
カイの言葉は、そういった我慢のならないもののために、ジャスティの心と命をみすみす捨てさせるわけには行かないという強い意志があった。
そういったことを迷いもなく言葉にできるのが、カイがたんなる傍観者ではないことを如実に示していた。
リュールがめずらしく口を開いた。
「こんな骨のある奴、久しぶりに見たな。すでに『腐っている奴』からしてみれば、面白くないことこの上ない話だが──。『仕方ない』と口にしながら、ずるずると楽で悪い方に馴れ合っている人間は少なくはない。それがある種の常識でもあって、平和でもある。が、お前の言うように『誰も負わない歪み』は必ず大きな問題になって跳ね返ってくる。自分たちでひとかけらも責任を取る気はない輩が、責任の擦り合いをするなという話なんだよな?一部の『背負えそうな人間』『何も知らない人間』がそれを負って苦労すればいいという考えしかないあたりが、誰かが負わなければならない重荷を作りだしているのだし、それを知っていてやっているのなら迷惑以外の何者でもなし」