不思議電波塔
『はー…。全然平行線だね。ダメなのかな。僕たちが腹黒過ぎるのか、君たちが純粋過ぎるのか、わかんないけど。つまんないなー。君でもいいから、何か面白い話、聴かせてよ』
「面白い話…」
ジャスティは天を見上げて、答えた。
「あのね、僕、たこ焼きにブスが刺さっているの見た」
『は?』
「たこ焼きだよ。たこが入ってるの。それにブスブスブスってたくさん」
「由貴、カウフェリン・フェネスにたこ焼きってあるの?」
四季が尋ねて由貴は首を振る。
面白かったのか、晴が笑いをかみ殺しながら言った。
『何でたこ焼きなんか知ってるの?』
「あれー?何でだろう。ほんとだよー」
その時、晴ではないもうひとつの声が聴こえてきた。
『あはは。ごめーん。たこ焼き見たのは、僕。思わずジャスティにシンクロしちゃったー』
綾川祈の声が、空から降ってきた。四季は空を振り仰ぐ。
「お父さん?」
『あれ?今、四季、僕に‘お父さん’って言ったー?こっちにね、青龍の森の書があるの。四季の‘お父さん’が文字になって出てきたよー』
「えー?」
『ジャスティ可愛いねー。あ、たこ焼きね。今日お客様がたこ焼き持ってきてくれて、休憩室でみんなで食べてたら、みんなひとつずつ食べて、つまようじを残ったたこ焼きに刺して行くから、たこ焼き、たくさんつまようじブスブスって刺されちゃってウニみたいになってるのー。ちょっと可哀想で可愛かった』
リュールがあまりの緊張感のなさに拍子抜けしたようにぽかんとしている。
晴は笑った。
『くだらな。そんなんで面白いと思える感性に万歳だね。アホだ』
『何ー?晴くん、僕にアホだって言った?四季たちにあまりひどいことしたら、ただじゃおかないからね』
『んですかー?ただじゃなけりゃ、どーなるんですかー?』
『由貴くん、晴くんの人生相談一件につき、百円で有料化しちゃったらいいよ。時は金なり。もー、ずっと見てたら、由貴くんだって自分のこと考えなきゃなのに、晴くんが構って構って攻撃するから、何か苦労だなあと思って』