不思議電波塔



 ユニスの一喝で門が門であるための力が弱くなったのか、門がシャッフルされ始めた。

 轟音のようにシャッフルする音が響き、風が起こり始める。

 リュールが風を鎮めた。

「主を見失い、このざまか!俺は龍騎士だ。俺と剣を交えたい奴は前に出ろ!」

 激しい稲妻が空間を切り裂き、戦車と悪魔がリュールの前に立ちはだかった。

 リュールは満足そうに笑う。

「願ってもないカードが来たぜ。こいつは俺の獲物だ。先に行け、由貴!」

 残り14。

 門を越えて行くと、陰鬱な月の暗がりに百獣の王の唸り声が聞こえた。月と力のカードだ。

 ルナが微笑んだ。

「待っていたわ。ここは私に任せて」

 残り12。

 シャッフルに目利きが利くようになり、フィノが声を上げた。

「分別と知恵ある者、とまりなさい」

 節制と隠者のカードがフィノの前にとまった。

「この門は私が制します。先へ」

 残り10。

 ジャスティがカイの手を取り、立ち止まった。

「カイ、協力してくれる?」

「もちろん」

「僕はカウフェリン・フェネスの命運を決める者。正しさと公平さの門よ、止まれ」

 運命の輪、正義、審判の門がジャスティとカイの前にとまった。

「僕たちがここをとめる。先へ行って」

 残り7。

 ノールが立ち止まった。

「生きる時に死や犠牲が伴うことを私は知っている。その門は私が引き受けましょう」

 死神と吊るされた男のカードがノールの前に止まった。

 残り5。

 これでカウフェリン・フェネスの世界の者はそれぞれの門をとめたことになり、地球へ帰る必要のある者たちが、門の前に立たされた。

 門はなおも繰り返した。

「生きて帰れると思うのか」



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