年下の不良くん

すると、図星を付かれたらしい翔くんは、もごもごと否定をした

「はっ!?
ちげーし!!
つーか、お前はあっち行けよっ」

「ほら、武蔵
アンタは邪魔してないで、切るの手伝ってよ」

キッチンにいる優美から呼ばれて、飛ぶように武蔵くんはいってしまった

あ、私、部屋着なの忘れてた…

ここまできてなんだけど着替えなきゃ

優美に一言告げて、寝室でささっと着替えた

「りりかー、切り終わったから、鍋に入れてくね」

「うん」

準備万端の鍋の中に具材を入れた

「りりかちゃ~ん
ポン酢てどこ~??」

「ポン酢はね──」

──数分後

「手を合わせましょう!!
いただきま~す♪」

『いただきまーす♪』

武蔵くんの合掌で夕飯が始まった

なんだか、友達と料理して一緒に夕飯をするなんて、合宿に来たみたいだな

本当にみんなと夕飯をするのは、格別美味しくて楽しかった

数ヶ月前まで、一人で食事をするのが当たり前だった、私

毎日一人での食事と言うものほど、不味い料理はないね…

それが翔くんのおかげで、当たり前が当たり前じゃなくなって…



──お母さん
私、今とても幸せだよ──


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