年下の不良くん
テーブルには見たこともない料理が乗っていて、思わず涎が出そうになる
「お、美味しそう…」
多分、ここにいる人達は毎日、こんな美味しそうなものを食べているのだろなぁ
そんなことを考えていると、隣にいた春樹が名前を呼ばれて振り向き、私も反射的に振り向いた
立っていたのは、中年くらいのおじさんで、どこかのお偉いさんなのだろう
雰囲気が、全く一般人の私と違う
「やぁ、近藤くん
君もこのパーティーに呼ばれていたんだね
おや、その隣の綺麗な方は??」
おじさんの視線が春樹から私へと移り、私はどぎまぎしつつ頭を下げた
「ああ、彼女は私の恋人です
どうぞお気になさらず
それよりも、この間の──」
と言って、春樹は私の傍から離れていってしまった
「……行っちゃったね…」
彼の小さくなる背中を見つめて、ぽつりと呟いた
頼りになるお兄ちゃんを無くした、妹のような気分だ
彼は大企業の社長なのだから仕方がないし、こうなる事を予想していたのだが、あまりにも展開が早すぎて頭が着いていかない