年下の不良くん
「なんだよ、聞こえなかったんだけど」
「別に」
「んだよ〜!!
気になるじゃんっ」
「うっせぇな
おら、戻るぞ」
終わりそうにない話に区切りをつけた翔くんは、私に目をやり、またな、と短い挨拶と小さな微笑みをくれて歩き出す
武蔵くんは名残惜しそうな顔をしてから、授業がある為、その後を急いで追っていった
「相変わらず馬鹿だなぁ」
悪態をつきながらも、駆けていった武蔵くんの背中を愛しそうに見つめる優美の心情は、言わずとも感じられる
「ふふっ、そんなこと言っちゃって」
「そーだよ〜、優美!!
何か今の愛を感じたよ〜??」
二人に茶化される優美の頬は真っ赤に染まるが、彼女はそれを認めないと豪語する
優美と武蔵くんには、まだもう少し時間が必要かもしれないが、武蔵くんの長年の想いが報われる日は着々と進んでいた
私も学科の違う結花と廊下で離れて、教室に入ったが、クラスの女子に話しかけられて立ち止まる
「ねぇねぇ、田口さんって翔くんと付き合ってるの〜??
ほら、良く一緒にいるでしょ??」
まさかの質問に私と優美は驚愕した
優美は確かに美人で有名だが、翔くんと付き合っている等という噂がたっていることは知らなかった