年下の不良くん
どうか早く彼の笑顔が戻って欲しいと、自分が原因にも関わらず願ってしまう私はなんて酷い奴だろう…
「…本当にありがとう、春樹」
そう言って私が微笑むと、春樹はたまに見せる屈託の無い笑顔で微笑んだ
「こちらこそ、ありがとう」
彼は、こんな私に最後まで優しく、そして感謝の言葉までもくれた───………
ゆっくりと重い足取りで、頭の中でいろいろとあれで良かったのかと考えながら帰宅していると、マンション近くの公園に翔くんがいた
「お帰り、りりか」
「ただいま」
優しく握られた手を、私はぎゅっと握り締めると、彼もぎゅっと握り返してくれた
それから二人して何も会話をせずに家に入ると、ソファーに座った私を翔くんが前から抱きしめる
「どうしたの??」
「………また俺の傍から消えるんじゃねぇかって不安でしかたなかった…」
「だから公園に…??」
こくんと頭を上下させて頷く翔くんは、きっと私がいなくなってから不安で寂しかったんだろうと思う
だから違う女の人と遊んだり、喧嘩をしたりしてその孤独を埋めようとしたのだろうか
そこは二人して詳しい事は話していない
きっと話をしても傷付けあったり、傷付いたりしてしまうような気がしたから…
それに、そうなってしまったのは全部私のせいだから
「私は戻ってくるよ必ず
…翔くんの傍が一番だから」
彼の背中に手を回しぎゅっと抱きしめ返すと、翔くんは負けじと抱きしめる力を増す