年下の不良くん

「りりか!!
これから一緒にぶらぶらしない??」


名案だと言わんばかりに目を輝かせてくるが、隣の武蔵くんは少し悲しそうにしていて、流石にその名案は彼に申し訳ない


「ごめん、優美
流石に武蔵くんに申し訳ないというか…
ほら、初デートでしょう??」


「えっ??
別に問題ないよ??
二人で出掛けるなんてしょっちゅう有ったし」


優美、どうか隣を見てほしいなと思う


とても武蔵くんが傷ついたように肩を落としている様子を見てほしいと思うのは私だけだろうか…


「でっ、でもほらっ!!
…そ、そうっ私達こらから行くところがあるのっ」


特にそれと言った用はなく、翔くんとはこれからぶらぶらする予定だったのだが、わざと嘘をついて断ると、優美は渋々と言った風に首を縦に振った


「そう…??
じゃあ駄目だね…」


「ごめんね、優美
…あ、じゃあそろそろ行くよ
また明日ね」


優美には悪いが本音を言うと、私も久しぶりのデートでもう少し翔くんといたいのである


手を振って二人を見送り、その背中を見つめていると翔くんが口を開いた


「相変わらず武蔵は振り回されてるみてぇだな」


「ふふっ、そうみたいだね
だけど、武蔵くん良かったね」


諦めず想いを相手にぶつけていくと、相手の気持ちも少しずつ変化していく、と言う事を武蔵くんを通して学ばされた


「アイツの渋とさが幸に出たってことだな」


ニヤリと口の端を上げて笑う翔くんだけど、きっと心では嬉しいんだと思う


「…このまま上手くいって欲しいね」


「そうだな」


少し斜め上を向いて微笑むと、翔くんも私を見つめて少しだけ微笑んでくれていて、より一層手を握る力を強めて私達もその場を後にした



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