ましゅまろハート
「はい、お待たせしました」


まるで

天使が舞い降りたかのような

優しい微笑み。


小さなオルゴールのような可愛い声。


シルクのような艶やかで

さらさらなロングヘアー。


目が合ったその一瞬で俺の心をこの女、

いや目の前の女性に奪われた。


「あのー。どうしましたか?」


女性スタッフは

くりっととした大きい目を輝かせながら

俺の方をじっと見る。


「あ……。

 す、すみません。

 ……こ、これ……」


それまでの勢いが

どこへ消えてしまったのか、

俺の声は気の抜けた炭酸水のように

弱くなった。


情けな、俺。



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