奇跡事【完結】
一人。
木の上で寝っ転がりながら、俺は空を見上げてそんな事を思い出していた。
カサリと微かに葉の擦れる音がする。
それに自然と頬が緩んでいく。
俺はもう一人じゃない。
「プリル」
「え。何でわかったの?」
音を立てない様に、ゆっくりと近付いて来たプリルは、俺にバレた事に驚きを隠せないらしい。
目を真ん丸にして俺をじっと見ていた。
「バレバレ」
「ええ。嘘」
「ほら」
俺は起き上がると木の枝にしがみついてるプリルに手を伸ばす。
プリルは目を見開きながら視線を彷徨わせると、遠慮がちに俺の手にその手を重ねた。
その細い手をぐいっと引っ張り、俺の隣に座らせる。
プリルは俺を見ると、照れ臭そうにはにかんで笑った。
釣られる様に、俺も微笑む。
俺はもう一人じゃない。
だって、俺にはプリルがいるから。
……大事な、プリルがいるから。