こわれもの
店を出ると、アスカはペコリと頭を下げた。
「ごちそうさまでした。
本当に、おごってもらっていいの?」
レジでの精算を近くで見ていたアスカは、いくらヒロトが年上男子とはいえ、高額の食事をごちそうになるのに抵抗があった。
だが、ヒロトはさして気にする様子もなく、
「気にすんなって。
俺から無理に誘ったんだし。
また、給料出たら連れてってやるよ」
「ううん、それはさすがにっ」
遠慮するアスカの頭を軽くなで、ヒロトは言った。
「じゃあ、アスカがバイト頑張ってるご褒美ってことにする?
それなら抵抗ないだろ?」
「そうだね。じゃなくて!
それはそれで何だか問題あるよ。
ヒロトさんのおごり目当てでバイトする、みたいな感じだし……」
「細かいことは気にすんなって。
俺、そこまで金に困ってないから」
誘われた時もそうだが、アスカは終始、ヒロトのペースに引き込まれる。
「それに、もう俺とアスカは友達だろ?
金のことでグチグチしてんの、寂しいじゃん」
「ヒロトさんの考えは不思議だよ」
友達。
アスカは、ヒロトの言ったその二文字に胸を痛めた。
それは、絶対に変えることのできない関係なのだろうか。