こわれもの

好きになるのに理由はいらないと、誰かが言っていた。

アスカはいま、全身でそれを実感している。

“ヒロトさんはお客さんで、ただの友達なんだから、変に期待しちゃいけないよ!”

そんな自制心ももろく、アスカはヒロトのなにげないそぶりに、いちいち神経を掻き乱されていた。


二人を乗せたヒロトの車は、アスカの自宅に向かって滑らかに走る。

窓の外。

夜に沈む星の光が悲しいほど綺麗で、それを見ていたら、アスカは無意識のうちにため息をもらしてしまっていた。

車中、笑いながらヒロトの話に乗っていたつもりなのに、

「さっきから元気ないけど、どうかした?」

とヒロトに訊かれ、全身が心臓になったかのようにアスカは身震いした。

「ちょっと眠くなっただけだよ。

食べた後だし」

アスカは何でもないフリで、必死に言い訳する。

< 24 / 214 >

この作品をシェア

pagetop