こわれもの
好きになるのに理由はいらないと、誰かが言っていた。
アスカはいま、全身でそれを実感している。
“ヒロトさんはお客さんで、ただの友達なんだから、変に期待しちゃいけないよ!”
そんな自制心ももろく、アスカはヒロトのなにげないそぶりに、いちいち神経を掻き乱されていた。
二人を乗せたヒロトの車は、アスカの自宅に向かって滑らかに走る。
窓の外。
夜に沈む星の光が悲しいほど綺麗で、それを見ていたら、アスカは無意識のうちにため息をもらしてしまっていた。
車中、笑いながらヒロトの話に乗っていたつもりなのに、
「さっきから元気ないけど、どうかした?」
とヒロトに訊かれ、全身が心臓になったかのようにアスカは身震いした。
「ちょっと眠くなっただけだよ。
食べた後だし」
アスカは何でもないフリで、必死に言い訳する。