こわれもの
社会人になり生活パターンが落ち着いてくると、おのずと人との出会いの場は限られてくる。
そうならないよう、積極的に他人との関わりを作ろうとボランティア活動や社会人のサークルに身を投じる人もいるが、ヒロトのフットワークはそこまで軽くはなかった。
職場と家の往復で精一杯で、そんな気も起こらない。
アスカと話すようになってしばらく経つと、ヒロトは10代の頃の自分を少し後悔するようになった。
誰かれかまわず遠ざけないで、好きな相手には心を開くべきだったのではないか、と……。
そうすれば、自然と親友という存在に出会えたのかもしれない。
“ま、今さら考えても仕方ないけどな”
なるようになるさ、と、クセになった割り切りの良さ。
悩まないための防御壁。