こわれもの
「マツリの話もウソじゃないだろうけど、ヒロトさんはヒロトさんだし、あまり考え過ぎない方がいいよ」
キョウにそう言われても、アスカの胸に貼り付いた不安感は消えなかった。
ホームルームが終わり、午前中の授業を何となく過ごし、昼休みになっても、アスカはヒロトにメールを返す気になれなかった。
“ヒロトさんは優しいし、正直今でも、ヒロトさんともっと仲良くなりたいと思ってる。
でも……”
これ以上深入りしたら、傷つく結果になるのではないか?
予感めいた不安が、アスカの胸をくすぶった。
考え込んでいても、腹は空いてしまう。
ケータイを机の隅に置き、アスカは昼食の弁当を開いた。
いつも一緒に食事をするメンバー達が、アスカの席を中心に集まってくる。
キョウとマツリは、アスカから一番近い席に座った。
「具体的に、ヒロトのどこがイイわけ?」
浮かない表情のアスカを横目に、マツリが訊いた。
今朝のことをキョウに注意され、彼なりに反省したのだろう。
前向きな意味で、ヒロトのことを知りたがっているようだ。