こわれもの
「アンタには話したくない」
アスカはそう返そうとしたが、
「それ、私も訊きたい!」
キョウまでもが話に乗ってきたものだから、アスカは話題を変えられなくなってしまった。
ヒロトの良いところはたくさん知っているけれど、もっとも心に残っていることをピックアップし、二人に話す。
「ヒロトさん、ウチの親のことほめてくれたんだ。
私、中学まではお母さんと二人暮らしだったんだよね」
中学時代までの数年間、母子家庭だったと話したアスカに、ヒロトは言ってくれた。
女手ひとつで育てているなんてすごい、アスカの母を尊敬する、と。
「それに、家に帰る時間気にしてくれたり、おばあちゃんの気持ち考えてくれたりしたんだ。
家まで、送ってくれたし」
アスカはさらに付け足した。
「いくら年上とは言っても、他人ちの親のこと褒めるとか、気持ちを気遣うとかって、なかなか出来ないことじゃん?」
「……ふーん。女を家に送るとか、男なら当然じゃね?」
マツリは相変わらず可愛いげのない物言いで返す。
「へえ! いいなあ、そういうの」
マツリと違い、キョウは素直に感動している。
アスカはマツリを軽くにらみつけると、キョウの方だけ見て話そうとしたが、こんなことを言われたため、マツリのことを無視できなくなってしまった。
「そいつ、旦那や子供のいる女と付き合ってるんじゃね?」