こわれもの

それからというもの、ヒロトは、毎日のようにアスカの働くコンビニに来るようになった。

もうすぐ新三年生になる。

そしたら受験もあるので、今からあまりバイトを入れないよう気をつけるつもりだったけれど、ヒロトに会うのがどこか楽しみでもあったアスカは、週2日しか入れるつもりのなかったバイトを、週4日入れるようになった。

ヒロトはゲーセンの社員としてほぼ毎日出勤しているらしく、毎日、職場に近いこのコンビニに寄っている。

ただ、顔を合わせても、二人はそんなに長く話せるわけではなかった。

ヒロトの出勤スタイルは、昼から夜が主。

彼がコンビニに来れるのは、昼と夕方にある長めの休憩時間中だけ。

夕方のみバイトしているアスカとは、午後4時以降しか会えない。

会えたとしても、ゆっくり話すような時間はなく、

「仕事おつかれ様です」
「またね」

二人は表面的な挨拶しか交わさなかったし、話すとしても、互いの仕事に関する話だけ。

今後も、そんな客と店員の関係が延々続くと、アスカは思っていた。


しかし、ある日を境に、二人の関係は大きく変わったのである。

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