『若恋』若恋編



途中、りおと買い物に寄った。

車から降りると横からりおに声を掛けて駆け寄るジーンズ姿の青年がいた。



「りお、ケガはもう大丈夫なのか?」

「?」


近寄ってきた青年に榊が後ろで身構え、それを目で制した。


「学校へもうそろそろ来られそうか?」

「うん。今日ギプス外れたの。
あ、奏さん。」


ギクッ


「わたしの幼なじみの立花樹」


「………たちばな、いつき」


「樹。こちら大神さんはわたしがケガしてからずっと面倒を見てくれてたの」


りおが嬉しそうに青年に話掛けるのを胸が焦げる思いで見ていた。

りおが明るい笑顔を青年に向ける。

安心しきったような。
まるで兄弟のような。
昔からずっとそうあったような。


「ああ、この人が」

「うん」


その会話で、ふと、気づいた。

ケガをしてりおが屋敷にきてから彼とは連絡が取れていたのだと。



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