純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「お好きな席をどうぞ」

「あの……昨日と同じように、また桐生さんと話しちゃダメっすかね……?」


 俺はその言葉に自分の耳を疑った。

 何を言っているんだ?コイツは。俺と会話をして楽しいのか?何かを得ようとしている?……まさかとは思うが、篠原さんのことがバレて……?


「私は構わないが……」


 マスターはおそるおそるといった感じで、俺の様子をちらっと伺った。

 溜め息が口から零れそうなのをなんとか堪えて、俺は、「俺も構いません」と言葉を返した。向かい合わせになる席を選び、椅子に腰掛ける。


「まーた俺がここに来ちゃって、正直迷惑っすよね……?」

「ああ」


 本田洋佑の言葉に、俺は即答した。

 「すいませんっす」と苦笑いをした本田洋佑だが……本当に悪いと思っているのか?というか、本当にコイツは、何をしにここへ来る?

 俺と無意味な会話を繰り広げるより、街中を歩いて彼女を捜す手掛かりを集めたらどうだ?……まぁ、よっぽどのことがない限り、見付かることはまずないだろうが。


「片想いの彼女さんとの進展、何かありました?」

「……昨日の今日で、何か進展するわけがないだろう」
< 178 / 349 >

この作品をシェア

pagetop