純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 自分の愛しの彼女――篠原里桜との思い出に浸っていた深夜を少し過ぎた頃、それは突然、起こった。

 自室の窓が、突然、バンッという音をたてて勢いよく開いたのだ。ちゃんと鍵は閉めていたはずなのだが……と、過去の自分の行動を思い返すより先に、目の前の現実に目を奪われる。

 窓の向こうのベランダに、見知らぬ人影がいた。容姿は、小学生の高学年くらいの大きさで、髪の色は月の光に照らされてキラキラと輝く銀色をしており、瞳はルビーのように真紅の色。

 手には自分の背丈以上の大きさの鎌を握っており、口は三日月のように吊り上がって不気味な笑みを浮かべている。

 “恐怖”――まさしく、それがそこにいた。

 おかしい。ここはマンションで、人がやすやすとのぼってこれるような高さではない。目の前の少年が、“そこ”にいることは通常的にはありえないことなのだ。


「ねぇ、」


 思っていたより幼い声音をしている目の前の少年が、くしゃりと顔を歪めて笑う。何がそんなに楽しいのか、俺には理解出来ないが。――否、したくもないが。


「僕が死神になりたい?――って、聞いたら……キミはどうする?」

「は……?」


 “死神”?
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