純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「洋佑。俺には仕事があるが、俺なりに精一杯の手を尽くして里桜ちゃんを捜し出す協力をするつもりだ」


 家に帰ると親父はすでに仕事から帰っていて、そう言ってくれたため、“ありがとう”の意味を籠めて俺は微笑む。


「ありがとう……親父」

「洋佑の綺麗な彼女だからな。無傷でいてくれたら、いいんだがな……」

「ああ、そうだな……」


 本当だよ。もしも里桜に傷1つついていたら、この俺が許さない。いや、里桜のことを誘拐した時点で許してやらねぇけど。見付けたら、絶対に犯人をボッコボコにしてやる……!


「洋佑。疲れたでしょう? 晩御飯が出来ているから、一緒に食べましょう? ほら、あなたも」

「ん? あ、ああ」

「そうだな」


 誘拐した犯人が里桜に食事を与えているのか気になって気が気ではないけど、俺はしっかり食べて、里桜を捜す体力をつけなければ。

 ……その日、俺は苦手な野菜を嫌な顔をせずに食べた。俺が苦手な食べ物を口にするより、里桜の方がつらい目に遭っているんだ。そのことを考えると、これくらい、どうってことはない。

 その日も、俺は里桜の安否のことだけを祈りながら、ベッドの中で眠りについたのだった……。
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