俺様教師の甘い罠




「 夏休みの予定は? 」


「 特にないです 」




人のいない廊下を先生と2人、
並んで歩きながらいつもと
変わらない意地悪に小さく笑いが零れる。




「 高坂 」


「 ・・・・ 」


「 ・・・なんだよ 」




いつもは澪って呼ぶのに、って
少しムッとして見せると
先生は立ち止まって、困ったように
眉を寄せて笑った。




「 ここは学校だから、仕方ないだろ 」


「 ・・・・ 」


「 俺は毎日仕事だし、休みは土日くらいだ。
  お前らみたいに休みなんかないんだけど 」




”どうする?”って先生が首を傾げて
話を逸らされたことも忘れて
一緒になって首を傾げた。




・・・・先生には夏休みがないんだ。




少し驚きながらも、やっぱり
言っている意味がよく分からなくて
更に首を傾げていると、先生は笑って
乱すように私の頭を撫でた。




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