彼が唄えば
 耳に心地よく響く甘い歌声が、私の心を鷲掴みにしていく。その歌声は、耳をしびれさせ、肌に鳥肌を立て、胸を高鳴らせ、体の芯まで蕩けさせていく。キーボードを弾く、という使命がなければ感動のあまり床にしゃがみ込んでしまいそうだわ。

 歌詞の内容なんて、どうだっていいの。

 彼の歌声――これだけは特別。

 普段憎まれ口を叩くその声は、別にスペシャルでもなんでもないのに、どうして歌を歌わせると天下一品なのかな。彼が唄えば世界が煌めく。
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