【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
――……。
……。
翌日。
朝9時過ぎに龍輝のところへ行って茶封筒を受け取り、それから電車に乗って△△市へ。
日曜の電車は、普段の混みようが嘘のように空いている。
だから周りを気にすることなく好きな場所に座れるし、のんびりと窓の外を眺めることが出来る。
“山とか川とか田んぼとか、田舎の風景が好きなんだぁ。”
…確かにいい風景だな。
30分で到着する距離だとしても、この景色が見られるのなら俺もきっと車じゃなくて電車を選ぶ。
…これが、マコの見てる景色。
「…悪くない」
ポツリと呟き、ふっと笑う。
嫌なことなんて全部忘れてしまうくらいに、自然は優しくて温かい。
そこに段々と人工的な物が増えていき、自然は少しずつ消えていく。
『次は △△駅〜 △△駅です』
…車内アナウンスが流れる頃には、ビルが立ち並ぶ以外は無くなっていた。