【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
……。
電車を降り、改札を抜ける。
「…居ない、か」
9時42分。
辺りを見回すけれど、マコの姿は無い。
だから仕方なく携帯を開き、マコへと電話をかけ…ようとした時。
「朔也ー」
手を振りながら走ってくるマコが見えた。
…今日は中学生なマコだ。
うん、つまり寝起きで化粧する時間が無かった。ってことだろうな。
「おはよ」
「おはよー! ちゃんと起きてきたよー!」
「はいはい、偉い偉い」
「もぉー、もうちょっと誉めてよー。
頑張って起きたんだよ? 朔也のために、ね」
……朔也のために、に、ずいぶん力が入ってるなぁ。
「…別にそこまでしてくれなくていいよ」
「あはは、相変わらず冷たいねー。
まぁいいや、とりあえず一緒に来て!」
「え?」
「アパート帰って化粧してー、それからどっか遊びに行こっ!!
だからひとまず、私の部屋に、ね?」
……部屋、ですか。